ポートフォリオ(2023年版)
ポートフォリオ(2026年版)
私は、日々の生活から得た視点をもとに、「人間」という存在を彫刻を通して再構築することを試みている。
生み出された彫刻は、現代を生きた人々の内面をも含んだ“化石”のような存在となり、未来を生きる誰かにとっての指標になることを目指している。
制作の出発点は、日々の暮らしの中で感じる違和感や疑問にある。
人間は本来、矛盾や変化を抱えた有機的な存在であるにもかかわらず、現代社会では画一的な生き方が求められる。
そうした状況に疑問を抱いた私は、人間の本質を、肯定や否定といった価値判断を超えた“ありのまま”として捉え直す方法を探している。
現代社会では、共感できる情報ばかりを求める傾向が強まり、それが逆に、共感できないものへの拒絶や分断を助長している。今求められるのは、似たもの同士で共感し合う「シンパシー」ではなく、違いを受け入れる「エンパシー」の姿勢だと考えている。
このような考えから、私は「異質同士の共存」をテーマに掲げ、制作を行っている。
作品づくりのモチーフとして扱っているのは、表裏一体の関係をもつ「陰陽」や、人間が自然との関係の中で生み出してきた「道具」の存在である。
「陰陽」は、盛衰や因果など、生物の営みに深く根ざした概念であり、矛盾や多面性を受け入れる広がりある関係性を示すヒントとなる。
また「道具」は、生活用品や玩具・遊具など、私たちと未知の世界をつなぐ橋渡しのような存在である。
特に玩具や遊具は、子どもが世界を理解し、共存していくための最初の手段であり、道具本来の「開拓する力」を今も色濃く残している。
これらのモチーフを通して、「異質同士の共存」へと向かう道筋を作品に内包させたい。
そして、作品と出会った人々が、自身の価値観を超えて未知に足を踏み出すきっかけになることを願っている。
この試みこそが、変動性・不確実性・複雑性・曖昧性に満ちたVUCAの時代を生き抜く、一つの処世術となり得ると考えている。




